
明治維新以降の日本の原動力となった哲学=陽明学の本。今の日本人の多くが忘れようとしている「心のありよう」が詰まった一冊。私の故郷ともいえる鹿児島の英傑である、西郷隆盛、大久保利通、東郷平八郎も陽明学の信奉者であり、西郷隆盛の「敬天愛人」は、陽明学の思想そのもの。
そもそも陽明学は、中国の儒学者である「王陽明」を始祖とする学で、この「伝習録」は彼の弟子が、陽明との問答や手紙のやりとりを彼の没後に書物としたもので、皮肉にも中国では陽明学は衰退したらしい(陽明の目論見である、庶民への儒学浸透は達成されたが)のですが、その後、日本の近江の聖人、中江藤樹によって広められ、江戸末期の英傑の精神となり明治維新に繋がったと言われています。というか、明治維新前後の英傑の殆どは、陽明学と何らかの繋がりがあると思います。
以下は、陽明学の私の現在の見解。
外部の事象に囚われず、内面に生じる欲や葛藤をコントロールし、生を受けた人に本来、皆等しく備わっている「良知」を実行する事を説く哲学。知識や手法等の情報量を増やす事も大事だが、それよりも心(を含めた自らの全て。陽明は、これらを万物を映し出す鏡であると説いている。)を磨く事により、考えも及ばないエネルギーを生み出す。
尚、大政奉還の原案を書いたとも言われる備中聖人の山田方谷は、陽明学の思想は、革命思想に結びつきやすい為、朱子学とのミックスが良いと仰ったそうです。安易に用いるのは危険な側面もあると。確かにそうかもしれませんね。晩年の三島由紀夫も陽明学にはまってたらしいので。
ただ、この本は読んでおいて損は無いなぁと考えさせられます。読破した後の澄み切った心のありようは自分でも不思議な感覚になります。今後も長く繰り返し読み返す本となると思います。日々の実践に繋げて、自己の研磨に繋げていきたいです。
星6つ【 ★★★★★★ 】のオススメ!!!
伝習録 (中公クラシックス)
王 陽明
中央公論新社


